[行程]コラートで自動車をチャーター
コラート→パノムルン遺跡→ムアンタム遺跡→コラート(泊)
コラート平原 パノムルン遺跡 ムアンタム遺跡 年の瀬のコラート /この日のデータ
パノムルン遺跡の平面図
◆コラート平原
コラートから南東へ約120q、ブリーラム県の2つの遺跡を見に行った。バス等で行きにくい場所にあるので、コラートから車をチャーターした。泊まっていた安宿で頼むのは無理だと思い、向かいのやや高級そうなホテルのフロントで頼んでもらった。1日1500Bという。午前9時に泊まっている宿の前に迎えに来る約束なので、10分くらい前にフロントへ下りて行くと、宿のおばさんが「9時に迎えが来るんでしょ?」と言う。どこで知ったのだろうか?
9時少し前、年季の入った黒いフォードの車が来た。人のよさそうなおじさんが運転手だ。あまり馬力は出ないが、乗り心地はよい。コラートから国道24号線に入り東へ向かう。単調な平原が続く。途中の道端には大きなニワトリの形の看板が目立つ。東北タイ名物のカイヤーン(鶏のあぶり焼き)の店だ。荷台に家族や友人のグループが大勢乗っているピックアップトラックが多く走っている。正月休みでバンコク方面から帰郷するのだろう。

にぎやかなナーンローンの街を過ぎ、しばらく行ったバーンタコの集落で右に折れる。さらに7〜8q行って今度は左に曲がると、向こうに小高い山が見えてくる。近づくと、しだいに山頂のあたりに遺跡らしき物が見えてきた。これがパノムルンだ。車はだらだら続く坂道を上り、コラートを出発して約2時間後、パノムルンの駐車場に着いた。
◆パノムルン遺跡
標高383mの死火山の山頂に立つパノムルンは、10〜13世紀にかけて、多くは12世紀に建設された、壮大なクメール寺院の遺構である。パノムルンとはカンボジア語で「大きな丘」を意味するが、たしかに周辺が一面のコラート平原の中にあっては、400m足らずの丘でもよく目立つ。
交通が不便なところにあるひなびた遺跡というイメージだったが、駐車場に止まっている車の列や、ずらっと並ぶみやげ物屋、所狭しと行き交う観光客を見て、そんなイメージは吹っ飛んだ。この日が年末の休日だからかもしれないが、ここは紛れもない一大観光地だった。
入口から長い(170m)参道に出ると、正面に寺院のそびえ立つ姿が見え、壮観だ。現在タイ−カンボジア国境となっているドンラック山脈から運んできたピンク色と白色の砂岩が使われているので、全体的には薄く赤みがかった色に見える。参道の両脇には、花のつぼみをモチーフにした高さ1.5mほどの石柱が68基並んでいる。まもなくナーガに守られたテラスに出る。ここから急な階段を上り詰めると、回廊の正面、四隅に小さな沐浴場があるテラスがある。回廊(66×88m)の東側の楼閣をくぐると、いよいよ中心祀堂だ。
中心祀堂は東を向いている。その正面のリンテルに刻まれているのが、有名な「横たわるナーラーイ神(ヴィシュヌ神)」である。大蛇シェーシャの上でナーラーイ神が気持ちよさそうに寝ている、この優美なレリーフは、修復前の1960年代に何者かに盗まれ、その後米国シカゴの美術館で見つかった。米国側は返還を渋ったが、タイの国民的返還運動の結果、ついに1988年、この場所へ戻ったという。これ以外にも随所に優美なレリーフが残されていて、飽きさせない。

中心祀堂の中は、シヴァ神を表すリンガと、シヴァ神の乗り物である聖牛ナンディンが安置されていた。中心祀堂を反対側へ抜け、さらに回廊を抜けると、木々に囲まれた広場になっている。さらに進むとこの丘の端に出る。ここからは、乾季で茶色く枯れた畑の中に点々と木々が生えているコラート平原の様子がよく見てとれる。南方にやや霞んで見える山並みがドンラック山脈で、その向こうはカンボジアである。
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(1)参道の石柱
(2)回廊正面のレリーフ
(3)中心祀堂
(4)石の衛兵
(5)回廊の石積み
(6)寺院の裏側
◆ムアンタム遺跡
パノムルンそばの食堂街で昼食をとったあと、運転手さんと落ちあって、次の目的地・ムアンタム遺跡へ向かう。パノムルンから反対側へ丘を下り、大きな貯水池(これもこの寺院と同時期につくられた)をぐるりと回ると、約15分でムアンタムに着く。きれいに整備された遺跡公園だが、正直きれいすぎる感もする。
10〜11世紀に建てられたクメール寺院で、その名前(タイ語でムアンは町、タムは低いという意味)からして、近くのパノムルンと何らかの関係があるらしい。そばに大きな貯水池(クメール人はしばしば水源確保のため造った)があることから、当時は相当大きな集落があったと思われる。
入口から芝生の中の遊歩道を歩いていくと、壁に築かれた東側楼閣にぶつかる。ここの破風とリンテルのレリーフが美しい。楼閣を抜け、蓮がたくさん生えている池を両側に見て進むと、中心祀堂を囲む回廊に出る。この回廊の楼閣もレリーフも含めて美しく修復されている。回廊内の中心祀堂には、前列3基(うち中央の1基は基壇を残すのみ)、後列2基の計5基の塔堂(プラーン)が建てられているが、これはインド−ヒンドゥー神話における世界の中心・スメル山(須弥山)を表しており、回廊を囲むように築かれている蓮の池(計4箇所)は、やはり神話のスメル山を囲む大海を表しているという。たしかにパノムルンを見たあとでは引けをとるかもしれないが、上述のような世界観を示した寺院の構図やレリーフなどは興味深いものだった。
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(1)回廊を囲む池
(2)プラーンのレリーフ
◆年の瀬のコラート
ムアンタムからは再びパノムルンへ登り、朝来た道を引き返した。途中交通事故があったが、無理な追い越しが原因のようだ。反対車線にはみ出して追い越すことが多いので危険だ。約2時間後、コラートへ帰ってきた。この日の夜もナイトバザールに出かけたが、人出が多い。大晦日だろうか、いつにも増してにぎやかな気がした。
宿へ帰ると大きなゴキブリが一匹いた。タイのゴキブリは日本のものに比べて図体は大きいがその分動きがのろい気がする。ゴキブリを排水口へ追いやり、寝る準備をしていると、どこかから花火と爆竹のにぎやかな音がしてきた。午前0時、新年の幕開けだった。
【この日のデータ】
9:00すぎ ホテルの前に自動車が来る。出発。1日1台1500B(ガソリン代込み)。
11:00 パノムルン遺跡公園到着。入場料40B。
12:30ころ 昼食。
13:00 パノムルンを出発。自動車で約15分、ムアンタム遺跡公園に到着。入場料30B。
14:00すぎ ムアンタムを出発。
16:00ころ コラートのホテル前に帰着。
18:00 夕食。ナイトバザール。
宿泊:同前 1泊180B
1B=約3.5円
