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'03-'04東北タイ(カオプラウィハーンなど)  旅日記から(3) -------12月30日前半


[行程] 自動車をチャーター
 ウボン市内→カオプラウィハーン→カンタララックの街で昼食
 [後半=次のページ]→ピブーンマンサハーン→サオチャリアン→パーテム→ウボンへ


内容カオプラウィハーン(プレアヴィヒア)の歴史  一路、カオプラウィハーン(プレアヴィヒア)へ
カンボジアへ入国  壮大な寺院建築  クメール平原の絶景  戦争と平和と
この日前半のデータ/ ※カオプラウィハーンの全体図を見る




◆カオプラウィハーン(プレアヴィヒア)の歴史 カオプラウィハーンからの絶景 clickで拡大  タイ・カンボジア国境の断崖上に遺跡があるらしい、と聞いたのはかなり昔だった気がする。ここから眺められる絶景のためか、この地は古くから聖地とされてきたが、9世紀にヒンドゥー寺院が創建され、12世紀のスールヤヴァルマン2世(かのアンコール=ワットを築いたクメール帝国全盛期の王)の時代まで営々と建設が続けられた。その後、アンコール=ワットなどと同様に上座部仏教の寺院となった。
  クメールの衰亡後はタイ領となったが、1904年のタイとフランスの協定でフランス領カンボジア領となった。その後、第2次大戦中にタイが占領し、タイ・カンボジア両国が帰属を主張する事態になったが、1962年に国際司法裁判所がカンボジアに帰属するという裁定を下している。オランダ・ハーグにある国際司法裁判所が機能した数少ない例として、学生時代に法学部の友人が言っていたことを覚えている。その頃(1980年代)はカンボジア内戦のまっただ中で行けるはずもなかった。内戦終結後も不安定な政情や付近に埋まる地雷などのため、行けない時が多かったが、1998年以降ようやくコンスタントに開放されるようになった。(ただし、国境の状況如何で閉鎖されることもあるので、事前にTATなどで確認をした方がよい。)

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◆一路、カオプラウィハーン(プレアヴィヒア)へ   車は約束通り朝7:30にホテルに迎えに来た。7〜8人は乗れそうな大きなワゴンで、私たち2人ではもったいない。運転手は20代後半の好青年で、長い距離をあちこち運転してもらった。
  車は南へひた走る。意外に交通量が多い。稲刈りが終わった田んぼに水牛が放たれていてモグモグ草をはんでいる。どこまで行ってもそんな風景がつづいた。9:00ころカンタララックの街を抜けた。けっこう繁華な街で市場もにぎわっていた。さらに行くと道は登りになり、周囲の景色も田んぼにかわって雑木林になる。まもなく、国立公園の入口のゲートがあり、入場料(外国人は200B、自動車が40B)を徴収される。いよいよカオプラウィハーンは近い。
入場券 clickで拡大  つづいて警察(国境警備隊?)のチェックがあり、運転手さんは何かカード(おそらく身分証)を預けていた。さらに山を登ること数分、広い駐車場を兼ね備えたビジターセンターに到着した。ウボンから2時間あまりの道のりだった。



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◆カンボジアへ入国   そこからは歩いて国境へ向かう。観光客を待ち構えていたカンボジアの子どもがたくさんついてくる。ここはまだタイ領だが、その辺はけっこうアバウトだ。子どもたちは観光客をめぐって競争である。積極的な感じの女の子が運転手さんにタイ語で話しかけてきた。身長からは10歳くらいかと思ったが、聞くと15歳という。5分ほどやたら広い道路(ヘリが着陸できるようになっていた)を歩くと、鉄の柵でできた幅2mほどの粗末なゲートが見えてきた。運転手さんはここで待っているという。どうやらこの何でもない鉄柵が国境らしい。係官など全くいないし、緊張感も全くない。
入口ゲート clickで拡大  ここを越えると広場になっていて、手前にチケット売り場の小屋があり、おきまりの土産物屋・飲み物屋が並んでいる。パスポートのチェックなどは全くなかった。広場の向こうに「カンボジア王国 プレアヴィヒア」(カオプラウィハーンのカンボジアでの呼び名)と書いた立派なゲートが立っている。そこでチケットもぎりの係員にチケットを見せてゲートを通過すると石段になっている。ところどころ崩れていてかなり歩きにくい。

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◆壮大な寺院建築 第1楼閣  clickで拡大   この壮大な寺院は、手前の第1楼閣から断崖そばの第4楼閣まで、あわせて4つの楼閣が約800mの一直線上に並んでいる。ナーガ(大蛇の神)で装飾された石段を登り切ると第1楼閣が目の前に見えた。半分倒壊しており、石段をおそるおそる登っていく。何本かの石柱と破風が残るのみで、本来の姿はわかりにくい。
第2楼閣南門 clickで拡大  ここから緩やかな上り坂を行くと、第2楼閣がある。これもかなり崩れているが、南側の破風には「乳海撹拌(にゅうかいかくはん)」、その下のリンテルには「横たわるヴィシュヌ」をモチーフにした美しいレリーフが残っている。いずれも他のクメール寺院でも見られる図であり、「横たわるヴィシュヌ」はタイ東北部のパノムルンのものとよく似ている。戦乱の中、よく残ったと思う。


※もっと写真を見る→→   第1楼閣  第2楼閣  美しいレリーフ
※カオプラウィハーンの全体図を見る全体図



第3楼閣 clickで拡大  さらに進むと第3楼閣が現れる。ここはかなり保存・修復がされていて、外側は原形に近い形で残っている。破風やリンテルにも多くのレリーフが残されている。ただよく見ると、銃弾のあとと思われる小さい穴がたくさんあった。





第4楼閣中心祀堂 clickで拡大  第3楼閣の南側を出て、露店の並ぶ石畳の道を30mも行くと、いちばん奥まった場所にある第4楼閣にたどり着く。ここが一番高いところにあり、規模も大きい。回廊もしっかり残っている。中心祀堂は上部が崩れ去って石材がゴロゴロしているが、中に入ると仏像の絵と祭壇が備え付けられ、お坊さんが1人みえた。入口には、地雷のせいか、片足のない若い男性が線香を売っていた。その男性から線香を買ってお参りする。


※もっと写真を見る →→第3楼閣  第4楼閣(1)中心祀堂   (2)地面に放置されたレリーフ 
※カオプラウィハーンの全体図を見る全体図

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◆クメール平原の絶景   第4楼閣の後ろは、すぐ高さ600mの断崖になっている。手すりなどないので、余計に足がすくむが、少しずつ断崖に近づいてみる。端の方は土がなく、岩盤が露出している。そこに立つと、目がくらみそうな光景が広がる。真下は直角に落ち込んでいる。岬の突端のように出っ張っているので、左右を見ても地面が切れている。つまり180°以上の広角で絶景が広がっているのだ。
断崖からの絶景
 clickで拡大  少し視線を上に起こすと、この辺りと同じような赤茶色の土と疎林が、はるか向こうまでずーっと広がっている。広大なクメール平原だ。未舗装の道がやはりずーっと向こうまで続いていて、道のそばにはところどころに小さな集落らしきものが見えるが、人の動きらしきものは見えない。道にも交通量はほとんどない。
  ここに立つと、この地が昔から聖地としてあがめられてきたことや、この地に寺院を建てる気持ちがよくわかる。ここは、世界が自分の足下にあるような、そんな錯覚を起こしてしまう場所だ。



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◆戦争と平和と 危険 地雷 clickで拡大  こんなすばらしい遺跡なのだが、一方で否が応でも戦争の傷跡が目に入ってくる。内戦時にはここにポル=ポト派の陣地があったらしく、第3楼閣の東側に高射砲が1基放置されており、またその近くには兵士が暮らしたと思われる横穴があった。また、遺跡の端にはところどころにドクロマークと「危険!! 地雷!!」の赤い看板と、木や石に赤いペンキが塗られていた。この赤いラインを越えると地雷の危険があるということだ。実はこのあとバンコクで新聞(バンコクポスト紙)を読んで知ったのだが、私たちが訪れたたった2日後の1月1日、カンボジアの青年観光客が道を外れて地雷を踏んで重態に陥ったという。本当に地雷は埋まっているようだ。
  タイ側のビジターセンターで会った15歳の女の子は、結局案内しがてら、最後の断崖までついてきた。その粘り強さに根負けして、絵はがきを買ってあげたが、そのように観光客相手の子どもたちが数十人いるようだ。学校などたぶん行っていないだろう。遺跡のところどころに「私はカンボジア人として生まれたことを誇りに思う」という看板が立っていた。この子どもたちが本当にこういう風に思えるようになればいいのだが……。
  戦争は終わったあとも長い間爪あとを残す。タイ・カンボジアの対立やカンボジア内戦に振り回されてきたこの寺院が、平和の象徴になることを願う。


※もっと写真を見る →→高射砲  兵士の隠れ家  I HAVE PRIDE…… 上へ戻る



【この日前半のデータ】 前日にホテルで自動車をチャーター。1日1500B+ガソリン代
7:40 ホテルを出発。 9:00ころ カンタララックを通過。
9:30ころ 国立公園入口に到着。入場料200B(外国人料金)+運転手さんの入場料20B(タイ人料金)+自動車の入場料40B。
9:45ころ カオプラウィハーンのビジターセンターに到着。歩いて国境へ向かう。
     国境を越えたところで入場料を払う。200B。(タイ人は50B)
10:00〜11:50 カオプラウィハーンを見学。
12:30 カンタララックに到着。昼食。[→後半へつづく]
1B=約2.8円 上へ戻る


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