朝、歴史公園行きのソンテウ乗り場に向かって歩いたが、
橋の辺りは洪水のため冠水していて歩きづらい。車ものろのろ運転だ。
たまたま「ムアン・カオ」行きの看板をつけたソンテウがゆっくり脇を通った。
乗り場はもっと向こうのはずだけど、と疑問に思いながら合図して乗ろうとすると、
「乗り場はもっと先だけど、そこまで乗せてあげるよ。」とタダで乗せてくれた。
どうやらこのソンテウは運転手の家から乗り場まで出勤してきたところで、いわば回送中だったようだ。
こういうちょっとした親切(タイではよくあることだが)がうれしい。
乗り場に着いて、発車間際の別のソンテウに乗り換える。
川から離れると水は引き、スピードをあげて飛ばしていく。
約30分後、城壁を越えたところで、車掌のおばさんが降りるように言う。
降りてみるとそこは市場で、レンタサイクル屋のおばさんから呼び込みがかかるが、
古そうな自転車が多いのでやめておく。食堂で朝食を食べ、公園入口すぐ手前左側の
ラームカムヘーン国立博物館に向かった。

博物館の入口で30日有効の共通入場券を150Bで買って入場する。
スコータイやシーサッチャナーライで発掘された仏像や遺物、生活用品などが展示されているので、遺跡見物の前に見ておくと役に立つだろう。有名なラームカムヘーン王碑文のレプリカも
あった。これは、タイ文字で書かれた最古の文書とされ、牧歌的なスコータイ時代をうかがわ
せる内容でもあり、タイでたいへん有名である。(後世の作とする説もあるが。)
ここに刻まれたタイ文字は現在のものと多少違うが、少しでもタイ語が読める人ならば、
有名な「水に魚あり、田に稲あり」の部分は容易に見つかるはずだ。
なおスコータイ市内の道路の名標には、現在のタイ文字と当時のタイ文字が併記してあるので
、興味ある方はお忘れなく。

もう一つ印象に残ったものは、シーサッチャナーライのワット=プラシーラッタナマハタートにある大きな遊行仏(ゆぎょうぶつ)の姿である。
遊行仏とは、ブッダが歩く姿をかたどった仏像のスタイルで、スコータイの仏教美術を代表する、たいへん優美なものである。これはブッダが説法に行く時の姿を現しているという記述もあるが、博物館の説明によると、亡くなった母親に仏法を説いたブッダが天から帰ってくる様子を表したものという。
博物館の向かいのコンビニで自転車を借りた。何と1日15B。安いし新しい。
ついでにペットボトルの水を買ったが、こうやってついでに飲み物・食べ物を買う客が多いので、
15Bで貸してもやっていけるだろう。自転車に乗って歴史公園に入ると、入口で自転車持ち込み料10Bを支払った。
入口からすぐのところに、スコータイで最も重要な地位にあった寺院・
ワット=マハータートがある。
堀の手前、正面から見ると、水面に姿が映し出されて美しい。
中央にはたくさんの丸い柱に囲まれて白い仏座像が置かれ、その両脇には、
四角い太い2本の柱にはさまれるようにして、光背の付いたやはり白い仏立像が、左右1体ずつ立っている。
仏座像の奥、この寺院の中央に位置する仏塔は、蓮のつぼみの形を模したとされ、スコータイ独特の様式だという。
すらっとスマートな印象を受ける。その仏塔を四角く囲むように、クメール式の仏塔(プラーン)と、
シュリーヴィジャヤ式の仏塔が、交互に合計8基並んでいる。
全体として、左右対称で中央に行くほど高くなるように設計され、見事に均整がとれている。

これ以外にも、様々な様式の仏塔が200基ほど、礼拝堂が10か所、
モンドップ(屋根に塔が付いた仏堂)が8つ、本堂1つ、池が4か所あったという。

実に壮大な規模の寺院だったことがわかる。クメール帝国の支配から脱して、
新たに自分たちの国を築いた当時のスコータイの人々の気概が感じられた。
ちなみに礼拝堂にあった大きな仏像は、ラーマ1世によってバンコクに運ばれ、
現在はワット=スタットに祀られている。
なお、ワット=マハータート東側の小高い丘にスコータイの王宮
(発掘調査によると大きさは27.5×51.5m)があったと推定されている。
なお冒頭で紹介したラームカムヘーン王碑文は、1833年、
王子時代のモンクット王(ラーマ4世)によってここで発見されたという。