ワット=ルワン
プレーは、プレー県の県都だが、にぎやかなのはほんの一部分で、バスターミナル付近も人が少なく、静かな、というより少し寂しい感じがした。バスターミナル近くの「パラドーン・ホテル」にチェックイン後、ホテルの前でうたた寝していた自転車サムローのおじさんに、旧市街の西側に位置するワット=ルワンまで連れて行ってもらう。
しばらくすると、城壁の残る門を通ってプレーの旧市街に入る。プレーは北タイで、昔ながらの城壁が最もよく残る町という。旧市街もやはり人が少ない。
829年創建と伝えられる、プレー県最古の寺院である
ワット=ルワン は、さすがに歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気があった。象4頭が支える大きなチェディー(仏塔)、その背後のウィハーン(礼拝堂)の屋根(木製、ルアンパバーン様式)や、寺院東側に残る昔の城門の一部(現存するプレー最古の建造物)などが見どころだ。他にも500年前の仏像などを保管する博物館などがあった。
クム=ウォンブリー
ここから旧市街を歩く。ワット=ルワンの対面、
ワット=ポン には大きな金色の寝仏があった。この辺り、チーク材でつくられた家々が並び、高い建物がないこともあって、何十年か前にタイムスリップしたような感覚を覚える。そんな町並みを眺めながら、
クム=ウォンブリー(ウォンブリー御殿) を訪ねた。
白色と薄いピンク色に塗られた総チーク造りの建物は、プレー領主の娘が約100年前に建てたという。建物外面の繊細な飾りや、建物内に展示されている当時の生活用品など、どれも興味深い。展示品を見ていると、受付にいた女性が話しかけてきた。聞くと、この建物を建てた王女の孫の奥さんだという。どおりで気品があるわけだ。
プレー旧市街の町並み
プレーの旧市街のゆったりした雰囲気は、町に住む人々からも醸し出されていた。町で出会った人は、都会と違ってやわらかい表情をしている。目が合うとニコッとして自然に「こんにちは」と挨拶しあえる。たまに通りすぎる自動車も、ゆっくり走っている。
次に訪ねた
ワット=プラノーン は、お堂に寝仏(プラノーン)が祀られていた。境内では、近所のおばさんたちがエクササイズの最中だった。自転車で何周もくるくる境内を走っていたおばさんが、「どこから来たの?本堂も見て行きなさいね」と元気な笑顔で話してくる。
ワット=プラルワン を見てから、旧市街のほぼ真ん中にある
ワット=プラバートミンムアン にお邪魔する。正面のウィハーンには、ピッサヌロークにあるチンナラート仏とそっくりの美しい仏像が祀られている。お参りしていると、30-40歳くらいのお坊さんが来て、お経をあげながら手首にサーイシン(清められた綿糸)を巻いてくれる。そればかりか、私たちの写真を撮ってくれ、さらにお寺の中まで案内してくれた。寺院の名前にもなっている仏足石(プラバート)や境内にある学校、鐘楼などを説明してくれた。夕方で暇な時間帯だったかもしれないが、親切な人柄がにじみ出ているようなお坊さんだった。
ヨム川の夕景
夕方5時をまわり、町にも活気が出てきた。旧市街中心のロータリーに隣接した公園では、たくさんの人が音楽に合わせてエアロビクスをしている。公園の横を通り、旧市街の北門を抜けて5分ほど歩くと、ヨム川に架かる橋に出た。川の真ん中で一人の男性が網を仕掛け、川岸では牛が草を食べている隣で数人の男性が釣りをしていた。気がつくと、遠くの山並みに日が沈みかけていた。空が深い青色に変わり、川に映る木々の影が色を失っていく。風が心なしかひんやりしてきた。こんな風景を見ながらビールでも飲めれば最高なのだが、残念ながらこの辺りに食堂は見当たらなかった。
すっかり暗くなった旧市街の南門(プラトゥー・チャイ)には、たくさんの屋台が出ていて、この町にこんなに人がいたんだ、と思わせるほどの人出だ。
近くの店で少し腹ごしらえをした後、ホテルまで戻り、近くの食堂で夕食を食べた。食べていると、自転車サムローが十数台列をなして走っていく。「?」と思って見てみると、白人たちのツアーのようだ。町では全く出会わなかったが、どこにいたんだろうか。