さるガイド本によると、チエンマイからラムプーンに向かうソンテウは、ピン川にかかるナラワット橋たもとのチエンマイ-ラムプーン通りから出ているらしい。その辺りで客待ちのソンテウのおじさんに聞いてみると、向こう(ナラワット橋)方面からやってくる青色のソンテウに乗れという。そこへちょうどそのソンテウがやってきておじさんが止めてくれたが、満員のため乗れなかった。おじさんは5分待てば来るという。そういう時にはなかなか来ないもので、10分以上待ってやっと次のソンテウが来た。これも満員で、2列の座席の真ん中に置かれた椅子に座る。
ソンテウはまもなくチエンマイの町を抜け、両側に大きな木が並ぶ街道を走る。ほとんどの並木にはオレンジ色の布が巻かれていた。街道に沿って次々と町が現れ、交通量も多い。途中で降りる人もいたが乗ってくる人も多く、結局ラムプーンまでほぼ満員のままだった。ワット=プラタートハリプンチャイと思われる大きな立派な仏塔が見えたので、ソンテウを降りる。
ワット=チャーマテーウィー
まず、町の西のワット=チャーマテーウィーをめざした。ところがトゥクトゥクは1台も見当たらず、サームローティープ(自転車サムロー)がたくさんいる。うーん、田舎町だ! サームローティープのチリンチリンというベルの音が似合いそうなう町だ。早速1台のサームローティープを呼び止めて、ワット=チャーマテーウィーまで連れて行ってもらった。
数分後に珍しい形の仏塔が見えてきた。ハリプンチャイ王国初代の女王チャーマテーウィーの名前がついたこの寺院は、この町で最も歴史ある寺院ともいわれる。さっそくハリプンチャイ様式の塔にお参りする。塔は基壇が八角形で、その上に四角形の柱が5層積まれ、各層各面ごと3体、つまり合計30体の仏立像が祀られているということだ。それから見落としてはならないのが、礼拝堂の北側にあるもう1つのやや小振りな仏塔である。バランスのよい美しさが感じられる。
昼食を食べた食堂
町まで大した距離ではなさそうなので、ぶらぶら歩く。途中のある家で2匹の番犬に吠えられた。この犬どもは、家の前を通る人みんなに吠えていて、通行人はみんな迷惑そうな顔をしていた。ちょうど正午過ぎなので、西門(マハーワン門)そばの「カオソーイ、フレッシュミルク」という看板の店に入る。結構客が入っている。店の半分は元は床屋だったのだろう、例の赤と青の回転看板や営業時間8:00-18:00と書かれたガラス戸がそのまま残してある。この店の注文方法は、テーブルにあるメモ用紙くらいの注文票(メニューがずらっと書いてある。タイ語オンリー)に注文数を書き込んでレジに持って行って精算し、料理が来るのを待つというスタイルだ。台湾ではポピュラーだがタイでは初めて見た方法だ。カオソーイと果物シェイクを注文したが、両方ともおいしかった。
もう1つのチェディー
メインの仏塔
そこから5分も町の中心へ歩くと、えらく立派な建物がある。国立博物館だ。入り口に行くと係員が、祝日のため休みです、と言う。残念だ。
道を挟んだところが、この町の中心、ワット=プラタートハリプンチャイである。寺院の南側には大きな駐車場と土産物屋があり、お参りの人が多い。せっかくなので、クワン川の方の正面からお参りすることにする。
立派な山門をくぐると、ラーンナー様式の大きな礼拝堂が迫ってくる。内部には、かつてこの寺院に祀られていたものの、ハリプンチャイ王国を滅ぼしたメンラーイ王がチエンマイに持ち去った水晶仏を模した仏像が、ガラスケースに恭しく安置されていた。その裏がメインの仏塔「プラタート・ハリプンチャイ」だ。修復工事の最中で、塔に青いビニールシートが巻かれているうえに足場まで組まれていたのは残念だったが、地元の人に混じって塔の周りを3周してきた。おもしろいのは人のあちこちにニワトリの置物があることだ。北タイではその人の十二支ごとに、御利益のある寺院が決まっている(中には意地悪なのか、ビルマとか天国にある寺院!!もある)が、ここは酉年の寺院なのだ。
大きな境内にはたくさんの建物があったが、礼拝堂の北側にあるもう1つの仏塔と、花をつけた「沙羅双樹」が印象深い。仏塔は、先ほど見たワット=チャーマテーウィーと同じハリプンチャイ様式で、やはり仏塔の壁面に仏立像が祀られている。また、沙羅双樹の花なんて珍しいもの見たな、と思ったが、あとで調べるとどうもそれは沙羅双樹ではないらしい。
クワン川にかかる屋根付き橋
ワット=プラタートハリプンチャイの正門を出ると、赤い屋根と白い欄干が美しいターシン橋がすぐ目の前にあった。橋の両脇にはずらりと服飾や雑貨の店が並んでいる。渡ったところがウィエンヨーン村。19世紀初め、雲南のシップソーンパンナー地方から連れてこられたヨーン人たちが住み着いたところである。ワット=トンケーオ内の民俗資料館に行ってみたが、鍵がかかっていた。近くに、何人かのおばさんが機を織っている工房があったので見学させてもらった。何色もの糸を織って、美しい模様を描き出す。見ているとおじいさんが即売コーナーに案内してくれた。どれもきれいな模様だが、布を買っても仕立てなければならないのでやめておいた。
ノーイナーの実
クワン川沿いの散歩道
再度橋を渡り、クワン川沿いに散歩する。ちょうど川岸の散歩道があった。ここから見るターシン橋は、水面に姿が映り、なかなか絵になる。やがて北門(チャーンシー門)に至る。この辺りはレンガ製の城壁もあり、また門の北側には古びた木造長屋も見えて、時代を感じさせる場所だ。北門から町の中心部に向かって歩と、今度はコンクリート製のショップハウスがある。50年前のものというが、堂々としている。
ワット=プラタートハリプンチャイに戻り、売店でジュースを飲んで休憩する。夕方になり、土産物屋は店じまいを始めていた。
さらに南へ歩くとラムプーンの繁華街になる。ショッピングセンターもあって、この一角だけはにぎやかだ。近くに青色のチエンマイ行きのソンテウが並んで止まっている。そのすぐ近くに、高いブロック塀に囲まれた白い洋館があった。旧ラムプーン領主の宮殿だという。今もその末裔が住んでいるので、当然中は見学できない。
チエンマイ行きソンテウに乗り込む。行きと同じ満員で出発だ。これだけ頻発しているのに全便満員とは。出発してすぐ、軍服を着た若い兵士10人くらいが乗ってくる。もう乗るところはないのに、と思っていたら、多くの兵士はひょいひょいと屋根に登っていった。チエンマイの町に入ると、兵隊たちは陸軍基地の前で降りていった。茶色い水を満々とたたえるピン川を渡ったところでソンテウを降りた。午後6時。さあ夕食を食べに行こう。