チエンマイ-ラムパーン間のバス
ホテルの朝食は、お粥・パン・コーヒー・紅茶のみの簡単なブッフェだったが、このお粥がおいしい。朝食後、乗合ソンテウでバスターミナルへ向かう。今から、タイ象保護センター(スーン・アヌラック・チャーンタイ)に行く予定だ。
チエンマイに向かう途中にあるというので、チエンマイ行きのローカルバスに乗り込む。ほとんど満員だ。座席は2列−3列で狭いが、こういうローカルバスでは、空いてる席を指さしてここに座りな、と言ってくれる人(たいてい、おばさん)が必ずいて、そうするとそこの席の人は席を詰めてくれる。混んではいるがどこか心地よい、ローカルバスの雰囲気だ。日本だったらみんな下を向いて知らんぷりをするんだろうな…と思ううちにバスは出発した。
タイ象保護センター入口
ガイドブック『ロン○ラ』には、37kmポストでバスを降りるとあるので、国道の両側にあるキロポストを見逃さないようにしていた。車掌の兄ちゃんにも、着いたら教えてくれるよう頼んでおいた。バスターミナルを出て約40分、進行方向右手の大きなドライブインを過ぎると道は上りになる。するとまもなく、車掌の兄ちゃんが手招きし、バスが止まった。キロポストはまだ28km少しなのでおかしいなと思いつつ、周りの人に聞くとここだと言うので、あわてて降りると、道の反対側がめざすタイ象保護センターだった。つまり『ロン○ラ』の記述が間違っていたのだ。タイ象保護センターでもらったパンフレットにも、チエンマイ-ラムパーン道路(国道11号)の28-29km地点と書いてある。ガイドブックはあくまで参考程度にしかならない、という好例だ。
象の行進
ここ、
タイ象保護センターは、農業・協同組合省に属する法人・林業振興機構が1991年に設立したもので、象を利用した林業技術の保全、今後の研究に必要な象に関するデータや知識の収集や、エコツーリズムの発展を目的にした施設である。つまり、タイにあまたある、象に乗れる商業施設とは全く違うわけで、象の病院や象のフンから紙やメタンガスを造る工場まである。
入口に象のショー会場まで2kmという看板がある。歩くのはたいへんだと思っていると、運良くトラムが通りかかり、切符売り場経由ショー会場まで乗せてもらえた。ショーまでの時間を利用して、近くのビジターセンターに立ち寄る。施設の紹介や象についての展示があった。
ショー会場に勢揃い
▼象のショー ショー会場には100人前後の観客が入っている。けっこう盛況だ。外国人は10〜15人程度だろうか。まもなく約10頭の象(5〜14歳の「学生」象)が一列に並んで入場してくる。鼻で前の象のしっぽをつかみながら歩く様子がかわいい。一頭の象が掲揚塔のひもを鼻で引っ張って旗を揚げ、ショーが始まった。およそ30分のショーでは、象の名前の紹介とあいさつ、象に乗り降りする方法、象使いが持つ棒を拾う方法、ナレーションの声に従い寝たり起きたり、本業の(?)丸太運びなどが披露される。つづいて2頭の象が鼻で絵を描き、最後に鼻で楽器を揺らしてタイの「象の歌」を演奏する。
えさをねだりに来た象
この後、象は観客にえさをもらいに来る。(中にはショーの最中からえさをねだりに来るのもいる。)えさは、サトウキビ一束10B、野菜のかご盛りが30Bで売られているので、象に渡すことができる。象を間近で見て触れあえるので、とても楽しい時間だ。サトウキビを何本も鼻に持ちながら、一本ずつ口へ運ぶ象もいれば、背中に乗っている象使いにサトウキビを預かってもらい、食べると鼻を象使いに向けて催促する象もいる。観客が差し出すサトウキビを一瞥して、別の観客が差し出すイモをねだる象もいる。この辺りは象の個性が出ていて、とてもおもしろい。
客を乗せて働く象たち
▼象に乗る 昼食後は象に乗りに行く。チケットを買ってしばらく待っていると、輿と象使いのおじさんを乗せた象がやって来た。私たちを乗せた象は、浅い川を渡ると急斜面を登る。以前にもタイで乗ったことがあるが、こんなに揺れたかな? 山道に入ると象は時々止まって草をむしゃむしゃ食べる。象使いのおじさんはそのたびにとがった棒で叩く。するとしょうがないなあという感じで象が動く。おじさんに、「そんなに叩いたら象は痛くないの?」と聞くと、「大丈夫。皮がすごい厚いんだ。」そうだ。この象の歳は40歳、名前は「シードーン……」、忘れてしまった。約30分の山道コースで2人400B、最後におきまりの写真を撮られ、これが200B。決して安くはないが、タイの象の保護のためなので、よろこんで払う。
入院中の象
▼象の病院 事務所をはさんで両側に象の「病室」が並び、3頭ほど入院中だった。とくに一番そばにいた象は、右後ろ足にケガをしたのか、患部に大きな薬(?)を張られ痛々しい。それでも看護師さん(?)からもらったバナナの茎や葉をモリモリ食べていた。早く回復してほしい。この病院はすべて寄付でまかなわれているそうなので、Tシャツを2枚400Bで買い、協力させてもらった。
ベンチで休憩していると、向こうから象の列が太鼓を鳴らしながらやって来る。13:30からのショーが始まるらしい。もう一度象たちの活躍ぶりを見に行く。内容は先ほどと同じだが、やはりかわいいものだ。
象のフンから作った紙などおみやげを買って、トラムで入口近くの駐車場まで送ってもらう。入口近くの東屋でバスを待っていると、1頭の象を乗せたトラックがセンターに入っていった。入院するのか?
旧市場通り
20分ほど待つと、行きと同じ緑色のローカルバスがやって来た。ほぼ満員だったが、やはり空いている席に手招きしてくれるおばさんがいて助かる。バスは快調に国道を飛ばして、30分ほどでラムパーンのバスターミナルへ到着した。
日暮れ時、夕食へ行きがてら、ワン川沿いの
旧市場通り(タノン・タラートカオ)を散策する。かつてチーク材の切り出しで繁栄した時代のメインストリートだったのだろう、道の両側には、装飾を施した木造2階建てのショップハウスがずらっと並ぶ。ところどころに立派な洋館や、チーク材でできた大きな屋敷も建っている。一瞬、今がいつの時代か忘れそうな、そんな雰囲気を持つ通りだ。
往時はビルマ人、イギリス人、中国人といろんな国の商人たちが行き交い、いろんなことばが飛び交ったこの通りも、今は廃れ、人が住んでいない建物も多い。人のいる建物や営業している店から、淡い光が通りに漏れ、ネコが闊歩していた。
フアン・チョムワン
旧市場通りを西へ向かうと、めざす食堂「フアン・チョムワン」の看板があった。フアン(中部タイ語ではルアン)は「家・建物」、チョムは「鑑賞する」という意味だ。看板を右に入って少し行くと、チーク造りの大きな建物があった。中は広々として、店の名前の通り、ワン川の眺めがよい。料理はどれもしっかりした味付けでおいしかった。大きなスクリーンで映画『ロード・オブ・ザ・リング』を流していたが、雰囲気にそぐわない気もする。