バンコク 雑記帳(1) ビールにまつわる話
夕暮れ時、川沿いの食堂で涼風に吹かれながら飲むビールは実にうまい。日中の責め苦のような暑さがすーっと引いた解放感が、ビールのうまさを倍増してくれる。タイ料理の濃い味付けにも、ビールはぴったりだ。
そのビールについて、気づいたことや感じたことを、思いつくまままとめてみた。
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雑記帳(2)
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ビールと選挙
ビールの販売制限
あやしい日本語・あやしいタイ語
◆ビールと選挙
このタイで、ビールなど酒類が飲めない、買えない日がある。
2001年1月、ちょうどタイでは国会議員の選挙が行われた。投票日は6日であったが、前日から販売できなくなっていた。コンビニに行くと、冷蔵庫の酒類が入っている部分だけ、段ボールで覆われ中が見えない。そして「選挙のため6日24時まで酒類は販売しません」と手書きの看板がかけられていた。レジの後ろのあるウィスキーが並んでいる棚も、新聞紙で隠されていた。
この事態はあらかじめ知識として知っていた。なんでも以前、選挙の時に酒に酔った運動員が対立候補の事務所へ押しかけケンカしたとか、拳銃を撃ったとかで、以来選挙の前日と当日は酒類の販売が禁止され、食堂でも飲めなくなったという。
しかしここはタイである。抜け道はあるはずである。食堂でも外国人とわかれば飲ませてくれるだろう、どこかで売っている店もあるだろうとタカをくくっていた。その日の夕方、よく行く食堂へ行っていつものようにビアシンを注文したが、店員は「選挙があるのでダメです」という。その店はけっこう外人率が高いのであるが、たしかに他のテーブルでも酒を飲んでいる人はいない。ビールが飲めなくてショックだったが、それより本当に飲めないことに正直驚いた。そういえば昨日までにぎやかだった、ワールドトレードセンター(当時)前のビアガーデンも、某ホテル前のビアガーデンも今日は閉まっていて、ウソのように静かだった。
バンコク中の店を調査したわけではないので、どのくらいこの規則が守られているかはわからない。しかし見た感じでは、かなりの程度遵守されているのではないか。感心半分、一方で寂しさ半分という気持ちになった。
ところが……。某ピザチェーン店を道からふと見ると、白人2人が堂々とビールを飲んでいるではないか! 大通りに面した店で、しかも窓際に座って。白人はだれが見ても外国人に見えるからなのか、治外法権の扱いだ。やっぱりここはタイ、抜け道はあったなと笑ってしまった。
おもなビールの銘柄
(1)ビア・シン
古くからあるポピュラーな銘柄。かなり濃いめのビールで、氷で割って飲んでもおいしい。写真右は「ゴールドビール」。味は軽め。この他にも「ライトビール」もある。

(2)ビア・チャーン
ビア・シンより安く、急速に普及。味は、ちょっと水っぽいかな。

◆ビールの販売制限
帰国を明日に控えた日、某スーパーマーケットで日本で飲むため缶ビールを買おうとレジに持っていった。
するとレジの店員が英語で書いた紙を見せ、これは売れないとビールを指さす。
それを読むと、法律により酒類の販売は、午前11時〜午後2時と午後5時〜午後11時に限られるという。
もちろん、昼間から酒を飲んでいるのはあまり感心できないという考えがあることは理解できるが、今飲むのではないのに売らないとは、かなり徹底した規制である。ただ、街中の食堂などでその時間に飲んでいる人はいたので、販売だけが規制されているのだろうか。それでは片手落ちなのに。
いずれにしろ、仏教の五戒には「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」があり、ここは仏教の国であることを思い出させてくれるできごとだった。
おもなビールの銘柄(つづき)
(3)ビア・リオ
ビア・シンの会社が、ビア・チャーンに対抗して作った安価なビール。味は価格相応かも。
(4)ハイネケン
国際的な銘柄。タイでのライセンス生産。タイ人はこのビールをよく飲んでいる気がする。上3つより値段が高く、高級なイメージからか。
◆あやしい日本語・あやしいタイ語
タイなど東南アジアへ行くと、あやしげな日本語を見つけて苦笑された向きも多いと思う。日本語を知らない人が日本語を書くとどうなるか、見ていてなかなかおもしろいものではある。一例を挙げよう。あるクーポン食堂で日本料理を出す店に「チツハンズシ」という日本語が書いてある。何の料理だろう? このカタカナではさっぱりわからなかったが、併記してあったタイ語を読んでわかった。正しくは「テッパンズシ」……鉄板寿司ってなんだろう?という疑問は解けなかったが。
またタイではあえて日本語でブランドイメージをつくっている企業もある。バンコクのあちこちで目にするお菓子の「Akiko」は、ドライマンゴーのパッケージにあえて日本語で「乾いたマンゴー」と書いている。ちょっと不自然な日本語ではあるが。「すいか」というブランドの服屋もあり、若者に人気だという。
ただこの辺りの事情は、何でも英語で書けばよいと思っている日本と同じであろう。そしてあやしげなタイ語という点でも、日本はタイと同じだということを発見した。
かつて名古屋空港が国際空港だったころ、あやしげなタイ語の看板を発見した。少しタイ語の話になり恐縮だが、まず、タイ語で外国人を表す「チャオターンチャート」の1つ目のトータオの文字にマイエーク(声調記号)がなかった。日本を表す「ジープン」のジーの母音がサラ・イーではなくサラ・ウー(uu)でしかもマイエークなし、さらにポープラーにもマイエークがなかった。したがって発音すると「ズープン」となってしまう。さしずめ「外国人」を「外匡人」、「日本」を「日木」と書いてあるようなものだ。仮にも日本で屈指の国際空港にこんなあやしげな看板を出すとは……。タイ文字を知らない日本人がどっかの本を写したんだろうが、これを見たタイ人はきっと苦笑しているんだろうなあ。